インストールガイド-Intel Basedプラットフォーム

ネットワーク要件と分離サイトの構成例

本項では、Stratus Avance 製品の稼働に必要となるネットワーク設定およびインフラストラクチャの要件について説明します。

一般的なネットワーク要件

Avance システムの両方のノードの Ethernet リンクは、どのプロトコルも遮断することなく、他方のノードとマッチするリンクとしてすべて同一の L2 ブロードキャスト・ドメイン内になければなりません。1 つの Avance ノードから送信されたすべての Ethernet パケットは、他方の Avance ノードで受信される時に、L3 ネットワーク・インフラストラクチャによるルーティングや交換によって遮断されたり転送レートの制限を受けないようにする必要があります。

Avance は、IPv4 および IPv6 マルチキャストを含む完全な IPv4 および IPv6 プロトコル・アクセスに依存しています。このトラフィックに障害がある場合、インストールがうまくいかない、あるいは Avance の実装において可用性が低下することがあります。Avance では、1 つのネットワーク・リンク上で 1 秒間にノードあたり 10 以上のマルチキャストを生成しないでください。

プライベート・ネットワークの要件

各ノードの 1 番目のオンボード Ethernetポートは、プライベート・ネットワークで接続する必要があります。物理サーバでは、通常これらのポートに 「GbE1」、「NIC1」 などの名前が付いており、2 つの Avance ノードを接続するプライベート・ネットワークは 「priv0」 と呼ばれます。プライベート・ネットワークには、別のネットワーク・ホストを接続しないでください。もっともシンプルなプライベート・ネットワークは、各サーバの 1 番目のオンボード Ethernet ポート間を接続する、単一の Ethernet ケーブル (クロスあるいはストレート) で構成されるものです。プライベート・ネットワーク用に単一の Ethernet ケーブルが使用されていない場合は、後述の 「分離サイトの注意事項」 を参照して追加の要件を確認してください。

10Gb 同期ネットワークの要件

Avance では、10Gb Ethernet ポートをプライベート同期ネットワークとして使う場合があります。プライベート同期ネットワークがある場合は、ノード間でストレージの複製を行なうネットワーク・トラフィックがこれらのネットワークを介して送信されます。プライベート同期ネットワークの要件はプライベート・ネットワークの場合と同様であり、Avance のエンドポイント以外にその他のネットワーク・ホストを接続しないでください。同期ネットワーク用に単一の Ethernet ケーブルが使用されていない場合は、後述の 「分離サイトの注意事項」 を参照して追加の要件を確認してください。

ビジネス・ネットワークの要件

10G Ethernet ポートおよびプライベート・ネットワーク・ポート (オンボードの 1 番目の Ethernet ポート) を除く Ethernet ポートは、すべてビジネス・ネットワークとして扱われ、VM によるトラフィックの送受信に使用できます。一方の Avance ノードのVM から Ethernet のトラフィックが遮断されずに送受信できるように、以下の点に注意する必要があります。

  • ビジネス・ネットワークに接続されたスイッチ・ポートでは、GARP (Gratuitous ARP) を含む ARP パケットを遮断しないでください。Avance は、ゲスト VM の代わりにGratuitous ARP を送信することで、Ethernet スイッチが VM のトラフィックを適切な Avance ノードの適切な物理 Ethernet ポートへ移動させるように、スイッチに対してポート転送テーブルの更新指示を出します。
  • ビジネス・リンクに接続されたスイッチでは、MAC アドレスによるセキュリティ機能を有効にすると、MAC アドレスを 1 つのビジネス・リンクから他方のノードのマッチするビジネス・リンクへ移動できなくなってしまうため、このセキュリティ機能をすべて無効にする必要があります。例を挙げると、Cisco Catalyst スイッチは MAC アドレスによるセキュリティ機能をサポートしているため、この機能を無効にしなければなりません。

これらの要件が満たされない場合や、VM が 1 つの Avance ノードから他方の Avance ノードに移行された時にスイッチが正しくポート転送テーブルを更新しない場合は、ネットワーク・トラフィックが VM に正しく移動されずに VM の通信が途絶してしまうことがあります。

分離サイトの注意事項

プライベート・ネットワーク、あるいは 10G 同期ネットワークのどれかが何らかのネットワーク機器を経由している場合 (これらのネットワークが 1 本の Ethernet ケーブルで接続されていない場合など)、本セクションで説明されている要件も同時に満たす必要があります。

プライベート・ネットワークの要件

  • プライベート・ネットワークに接続されているスイッチ・ポート、および/または光ファイバーから銅線へのコンバータは、一般的に Ethernet 転送レートのオートネゴシエーションが有効で、また 100Mb/s および 1,000Mb/s の両方のスピードへのネゴシエーションがサポートされています。分離サイトの実装においては、この構成上のエラーがよく見受けられます。
  • プライベート・ネットワークに接続されているスイッチ、および/または光ファイバーから銅線へのコンバータは、ルータを経由しないノンブロッキングで、往復のレイテンシが 10ms (ミリ秒) 未満でなければなりません。レイテンシは、ファイバ・ケーブル 100 マイル (約 160km) 毎に 1ms として、またルータを経由しないノンブロッキングのスイッチまたはファイバー・コンバータ毎に 1ms 程度として算出します。
  • プライベート・ネットワーク・ポートの接続に使用している VLAN が、Avance ユニットのノードに接続されている 2 つの VLAN スイッチ・ポート間にあるすべてのネットワーク機器に、いかなるフィルタリングも追加しないようにします。

単一障害点の排除

プライベート・ネットワークにおける Avance ノード間のパスは、ビジネス・ネットワーク上のトラフィックのパスから物理的に分離されている必要があります。Avance は、プライベート・ネットワークおよび 1 番目のビジネス・ネットワーク (各物理サーバの「GbE2」、「NIC2」 など) でハートビート通信を送信することで、各ノードの健全性を判断します。1 つの物理デバイスまたはソフトウェア・サービスに障害が発生して、プライベート・ネットワークおよび 1 番目のビジネス・ネットワークの両方のトラフィックに障害を引き起こす場合、2 つの Avance ノードにネットワーク・パーティション問題 (スプリットブレイン・シンドローム) が発生することがあります。この問題が発生すると、Avance の 2 つのノードは各々がゲスト VM を起動し実行するため、VM のデータを破損し (どちらが正しいコピーか判断できない等の理由で)、同一の VM の 2 つのインスタンスがビジネス・ネットワーク上で通信することになります。

*日本語版最終更新日:2013/3/7

サイトおよびシステムの準備 | Intel

サイトおよびシステムの準備

サイトの準備 1:必要な機器と情報の準備

システムの準備および Avance のインストール中は、接続されている必要があります。 2 台の物理マシン (PM)

  • Avance Compatibility Matrix(Avance 互換性マトリックス) に準拠するサーバ・モデル/構成
  • 物理マシン(以下PM) は、同一の製品ファミリ/世代の同じ構成のマシンであることが必要です。
  • 各 PM には、少なくとも 2 台のディスクを搭載している必要があります。
  • インストールには、内蔵あるいは USB 接続の DVD ドライブを使用できます。



アップグレードやインストールの前に、キーワード 「firmware」 とリリース 「3.0」 を使用して Known Issues (既知の問題) データベースを検索し、ファームウェアの互換性の問題を確認してください。

  1. Avance Customer または Partner Portal Site にログインします。.
  2. [technical support (テクニカル・サポート)] にある [Search for known issues (既知の問題の検索)] をクリックします。
  3. [release 3.0)]、そして [issue type firmware (ファームウェアに関する問題)] を選択します。

すべてのネットワーク・ポート用の、CAT5E、CAT6、あるいは CAT7 ネットワーク・ケーブル

システムの準備とインストール用のモニタとキーボード Avance Management Console 用のコンピュータ




サイトの準備 2:ネットワークの設定

【プライベートネットワーク】
各 PM の 1 番目の内蔵ネットワーク・ポート間をネットワーク・ケーブルで接続します。(ポート 1) 
PM 同士が離れた場所にある場合は、 Planning for Split Site Deployment(分離サイトの構成例) を参照してください。

【ストレージ同期ネットワーク (オプション)】
Avance は、PM 間のデータ複製パフォーマンスを向上する、オプションの同期リンクをサポートしています。これらのリンクでは、プライベート・リンクと同様に 10Gb の専用ネットワークで PM 間を接続する必要があります。同期リンクは、冗長構成にすることを推奨します。

【ビジネス・ネットワーク】
各 PM の 2 番目の内蔵ポートからビジネス・ネットワークまでを、Ethernet ケーブルで接続します。(ポート2) 
ネットワークにアドオンのビジネス・ネットワーク・ポート (NIC) が多数ある場合は、基本インストール作業が完了した後、ポートのインストールを実行してください。操作方法については、Connecting Business Links(追加のビジネス・リンクの接続) を参照してください。



サイトの準備 3:ストレージの構成

個々の物理マシンでは、少なくとも 2 台の物理ディスクがサーバの最小番号のスロットに装着されている必要があります。

  • 1 番目の論理ディスクでシステムが起動するように RAID コントローラを設定します。
  • 各 RAID アレイには、論理ボリュームを 1 つだけ割り当てることができます。
  • サポートするRAID レベルは、RAID 0、1、5、6、および 10 のみです。
  • Avance ソフトウェアをインストールする前に、2 台の物理マシンを同一の RAID 構成にしておきます。
  • 1 番目の論理ディスクが RAID 1、5、6、または 10 構成の場合、Avance は MBR フォーマットを適用します。
  • 1 番目の論理ディスクが RAID 0 の場合、Avance では 2 番目 の論理ディスク (RAID の種類は問いません) が必要となります。Avance は、MBR フォーマットを適用します。
  • LSI MegaRAID コントローラの BIOS 設定ユーティリティでは、RAID セットを設定する時に論理ディスクのサイズを更新できません。このため、サイズの更新はマニュアルで行う必要があります。




サイトの準備 4:電源の接続

サーバは、異なる複数の電源に接続される冗長電源構成にします。 UPS (オプション) 以下のように、Avance ユニットを 1 つあるいは 2 つの無停電電源装置 (UPS) と接続します。

Single UPS

Dual UPS リモート環境の電源制御 リモート環境の場合、APC などが提供しているネットワーク UPS、あるいはスイッチ付分電盤 (PDU) の使用を推奨します。これにより、ネットワークを通じて PM のリモート・パワーサイクリングが可能となります。



サイトの準備 5: BIOSを設定

Avance では、必要な BIOS 設定のほとんどが自動で行われます。使用される可能性のあるオプション設定について、以下に説明します。

AC電源のリカバリー 一部ベンダのサーバ製品では、電源サイクルの後に自動でサーバの電源を入れて起動させるかどうかを設定できます。可能な場合は、この設定を有効にしておくことを推奨します。
NICのPXE起動サポート サーバ・ベンダによっては、PM を PXE 起動するためにネットワーク・ポートを使用するかどうか設定できる場合があります。Avance で PXE を有効にする場合、1 番目のオンボードの NIC ポートのみが使用可能で、その他のポートは使用できません。1 番目のオンボードの NIC ポートを *除く*、その他すべての NIC ポートを使用する PXE 起動を無効にしておくことを推奨します。

インテル S1200KP サーバの BIOS の初期設定

  1. モニタおよびキーボードを 1 台目の物理マシン (PM) に接続します。
  2. PM の電源を入れます。
  3. BIOS 設定を起動するプロンプトが表示されたら、F2 キーを押します。
  4. メイン画面でF9 キーを押して、デフォルトの設定をロードします。
  5. Yキーを押して、デフォルト設定のロードを追認します。
  6. 矢印キーでBootページを選択します。
    1. Boot Device Priorityを選択します。
    2. プラス (+) およびマイナス (-) キーを使用して、以下のように起動順序を設定します。[1]
      1. Network
      2. Hard Disk Drives
  7. 保存して、BIOS 設定を終了します(F10キー、続いてY)キーを押します。

[1]注:[Boot Menu Type] を [Normal] から [Advanced] に変更すると、起動順序がリセットされてしまうので変更しないでください。

*日本語版最終更新日:2013/3/7

Avance DVD の作成


  • Avance Customer または Partner Portal Site にログインします。[Downloads] ページに移動します。
  • 必要な Avance ソフトウェアの ISO イメージを選択します。ISO イメージ検証用のチェックサムも提供されています。
  • プロンプトが表示されたら、[Save] をクリックして保存先を選択します。
  • 次に、保存した ISO イメージを検証します。
    1. Avance ISO イメージを保存したディレクトリに、http://mirror.centos.org/centos/dostools/md5sum.exeをダウンロードします。
    2. 以下の情報を含んだテキスト・ファイルを作成します。
      1. *
      2. 例: 6b9e28826a60f3c8f445ae0a399bc700 *avance_r3.1.0.6_56758.iso
    3. このファイルに md5.txt と名前を付け、md5sum.exe と ISO イメージ・ファイルと同じディレクトリに保存します。
    4. Windows システムの場合のみ、以下を実行します。コマンド・プロンプトを起動します。
    5. md5sum.exe、ISO、そして md5.txt ファイルのあるディレクトリに移動します。
    6. 以下を入力して、ISO イメージを検証します。
      md5sum.exe --c md5.txt:
    7. 検証が成功した場合: DVD の作成を継続します。
    8. 検証が失敗した場合: 再度 ISO イメージをダウンロードします。
  • *日本語版最終更新日:2013/3/7

    Avance のインストールおよび設定 | Intel and Other

    Avance のインストールおよび設定

    注:Avance をインストールすると、すべてのハード・ドライブのデータが消去されます。

      1. Avance DVD を作成します。詳しくはBurning an Avance DVD(Avance DVD の作成)を参照してください。
      2. モニタおよびキーボードを 1 台目の物理マシン (PM) に接続します。
      3. 接続した PM の電源を入れ、2 台目の PM の電源は切ったままにします。
      4. Avance DVD を挿入し、PM を起動します。
      5. Avance 製品のインストールを開始します。
        1. BIOS Boot Device Menu を起動して、F6 キー (その他のベンダ製サーバの場合) を押します。
        2. [Boot Device Menu] で、[Boot from Optical Drive] を選択します。Enter キーを押します。
        3. 最初の Avance インストール画面が表示されるまで待ち、30 秒の間に任意のキーを押してインストール・プロセスを開始します。
        4. [Install Avance] を選択して、Enter キーを押します。
      6. 1 分から 3 分後、[Quick Connect] または [Enter IP address information manually] のいずれかの選択を求めるプロンプトが表示されます。
      7. Avance は、特定の IP アドレスを経由して Avance Management Portal に接続することを求めるプロンプトを表示します。
      8. 画面の指示に従って、設定とインストールのプロセスを完了します。
      9. インストール・プロセスの完了後、以下の設定を検討することも必要です。
        1. [Library] > [Users & Groups] と移動して管理者を追加し、デフォルトの admin アカウントを削除します。
        2. ドメイン認証は、[Preferences] で [Active Directory] に設定します。
        3. UPS の監視は、[Preferences] で [UPS] を選択します。
        4. ユニットの所有者情報は、[Preferences] で [Owner Information] を選択して入力します。
      10. [Dashboard] を選択して、未処理のアラートに対処します。注:PM ノード 1 は、この段階ではまだイメージ処理、または同期処理を実行中の場合があります。この処理は、手順 9 を完了後 10 分から 20 分で完了します。
      11. [Physical Machines] ページで、Node 1 のステータスが [running (in Maintenance)] (保守モードで稼働中) の場合は、[Node 1] を選択して [Finalize] をクリックします
      12. 両方の PM の名前の隣に緑のチェックマークが表示されていれば、2 台の PM は完全に同期し、冗長構成になっています。
      13. 追加のビジネス・ネットワーク・ケーブルを接続します。詳しくは、 Connecting Additional Business Links(追加のビジネス・リンクの接続)を参照してください。



    これで準備が完了しました。
    Avance のインストールが完了し、仮想マシンの作成、インポート、そして管理を始めることができるようになりました。Avance Management Console で [Virtual Machines] を選択して、オンライン・ヘルプで詳細を参照してください。Virtual Machine のリソースのプロビジョニングに関する詳細情報は、Avance Management Console のオンライン・ヘルプ、または 『Avance ユーザ・ガイド』 を参照してください。
    *日本語版最終更新日:2013/3/7

    追加のビジネス・リンクの接続

    追加のビジネス・リンクの接続

    1. Avance Management Consoleで、[Networks] ぺージに移動します。
    2. 一度に 1 組ずつ、追加のネットワーク・ケーブルを両方のノードに接続します。各サーバの同じ NIC スロットの同じポート番号にケーブルを接続することが理想的です。それぞれの接続に対して、次を実行します。
      1. 新しい Shared Network (共有ネットワーク) が表示されるまで待機します。1 分程度待っても表示されない場合は、ケーブルが異なるサブネットにあるか、あるいはノード間で接続されている NIC ポートに互換性がないことが考えられます (例: Node 0 が 10Gb ポート、Node 1 が 1Gb ポートに接続されているなど)。
      2. 新しい共有ネットワーク名をダブルクリックして、その L3 スイッチ による LAN 接続性に基づいて次のように名前を変更します。「10.83.0.x」 あるいは 「Engineering Lab」
    3. 新たに構成された共有ネットワークに緑色のチェックマークが表示されていることを確認してください。

    *日本語版最終更新日:2013/3/7